秀山祭九月大歌舞伎 昼の部 2006.9.24 [歌舞伎]
昼の部の再見。
そして秀山祭最後の観劇だ。
今月もよく通いました(笑)。
本日のお席は1階12列11番。
●車引(くるまびき)
3人それぞれの立場が良く分かるようになってきた。
この3人でもっと色々とやれば良いのになぁ~。
梅王丸の松禄は滑舌の悪さもあまり感じなくなってきていたし、血気盛んな役の性格が存分に出ていたように思う。
声に少々疲れを感じたが、物足りなさにまではいっていない。
それにしてもちょっとコロコロした感じの松禄がこの化粧をしていると、何だか五月人形のように見えるなぁ~(笑)。
桜丸の亀治郎、前回拝見した時より役柄にしっくりとくるようになっていた。
自らの悲運に悲しみが滲み出ている。
そして何と言ってもキメの型がひとつひとつとっても美しい。
指先にまで神経が行き届いていて、まるで舞踊を観ているような感覚だった。
松王丸の染五郎もキメの型の美しさでは目を惹くものがある。
台詞の調子と表情に更なる深みが増していた。
登場した時の威圧感も十分に感じられた。
調子の悪かった喉も随分と良くなってきたように思える。
低音での台詞廻しは吉右衛門叔父さんにソックリなのよねぇ。
ああ、それにしてもあの足の親指、どうしてあんなに綺麗にピーンと立てられるのだろう…
やってみたけど私には当然出来なかった(笑)←当たり前
たとえ出来たとしても絶対に指が攣るよなぁ~、ははは。
段四郎の時平、妖気や不気味さは感じるのだけれど、あまりに瞬きが多すぎて少々人間臭くなり過ぎてしまった。
●引窓(ひきまど)
本当に素晴らしい役者揃いの、味わい深いしみじみとした演目。
地味だけれど、見終わった後が気持ち良い。
吉之丞のお幸、もう言うことない位に素敵だった。
とても背の高いスラッとした方なのに、なんて小さく身体を作っているのだろう。
どこからどうみても年老いたお婆さん…
実子への愛情、継子と亡くなった亭主に対する義理、その間での苦悩も決してやり過ぎることなくとても自然。
元々好きな役者さんだったが、更に好きになったなぁ~。
濡髪の富十郎、この方は本当に若々しいお声と華やかな雰囲気を持っている。
花道を歩く姿は少々お年寄りだったけど(笑)、座っていての芝居はお歳を微塵も感じさせない。
相撲取りらしい大きさと美しさ。
与兵衛の気持ちに打たれ、縄にかかろうとする心情もとても良く表現出来ていた。
お早の芝雀、色街出身の艶っぽさと可愛らしさ、そして健気さを好演。
今回も汗で着物から襦袢が透けてみえる程の大熱演だった。
与兵衛の吉右衛門、前半ではこの方らしい愛嬌が増してきていた。
町人と武士との変わり目がより明確に分かり易くなってきている。
濡髪とお早との関係を勘違いして、「この馬鹿女房!」「バカバカバカ!」と拗ねてみせるところでは笑いを誘い、この夫婦のありようが見えるようで微笑ましい。
それにしても吉右衛門は本当に上手い役者さんだなぁ~。
やっぱり大好き!(笑)
●六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)
・業平小町
雀右衛門は前回拝見した時よりも、足元がしっかりしてきた感がある。
それでも長袴を捌くには後見の手を借りないといけないが、毎日踊っていくうちに随分と足の調子が良くなってきたのかも知れない。
立ち姿や醸し出す風情は本当にお綺麗。
・文屋
かなり踊りに滑稽味が増してきている。
女官との掛け合いも絶妙な間合い。
まさに軽妙洒脱とはこのことか…
日頃、染ちゃんはあまり顔に汗をかかないのだけれど、この日は何故だかダラダラの汗。
体調が悪かったのか、それだけ渾身の踊りだったのか、それとも舞台が暑いのか(笑)…
汗で鬘の毛が数本頬にピッタリと張り付いていたが、こういうのって気になるだろうに、そのままで踊るのって大変よねぇ。
●寺子屋(てらこや)
前回拝見した時のような客席からも息を飲むような緊張感は感じられなかったが、芝居自体は決してだれたりはしていない。
むしろ落ち着いてきた感があって、より感動的な作品となっていた。
2度目に拝見しても、涙が溢れてしまう。
本当に良い芝居を観させて頂いた。
松王丸の幸四郎、台詞廻しにより重みと苦渋が増してきていた。
戸口で咳き込むところなどは本当に病人のように見え、思わず「だ、大丈夫か~?!」と心配になってしまう。
我が子であろうと思いつつ、首実検をする時の意を決したような表情が見事。
そして我が子の首と認めた時、悲しみの中にも「でかした」とその首に向かって言い、源蔵に「よく討った」と…
松王丸の万感の思いを感じることが出来る。
でも、松王丸ってこの時17歳っていう設定なのよね(でも父親は70歳)。
いったい幾つの時に子を作ったのでしょう。←そういうことは気にしないのが歌舞伎か…
武部源蔵の吉右衛門、松王丸と千代の苦悩を目の当たりにしての苦渋がより明確に深くなってきていた。
その表情と姿で、二人に対する共感と申し訳なさ、自らがした非道なことへの自戒の念など色々なことを表現してみせる。
いや、本当に吉右衛門は凄い役者さんだなぁ。
戸浪の魁春、源蔵との夫婦の絆のようなものがキッチリと表現出来ている。
千代の芝翫、我が子に対する愛情が切ないほどに伝わってきた。
所作のひとつひとつもお綺麗。
涎くりの松江、とっても可愛い(笑)。
夜の部ではあんなに素敵な姿なのに、ああ、この違い…
花道で父親を背負って帰っていくところでは、何ともいえない無邪気で良い顔をしていた。
トラックバック 1
行って参りました「秀山祭九月大歌舞伎」・昼の部。今日は超快晴で暑いくらいでした。電車の中で愛染かつらさんの記事を読んで予習予習(笑)。 まずは「菅原伝授手習...










愛染さん、こんにちは。本当によく通われました(笑)。私は1回ずつしか観られなかった(絞った?)ので、怒濤の如く?拝読させていただきました!
ところで変なところで反応。
私も足の親指ピーン!をやってみたんです。……出来ないモンですねぇ!(当たり前?)因みに力を入れると手の指も同じ形になるんです......笑える。修練の賜物ですよね。
by ぃよっす (2006-10-02 13:37)
ぃよっす様
通いました~。
フツー1回づつですよね…
今月は松竹座に2回も行くのに…
足の親指ピーン、やりましたか~。(笑)
出来ませんよねぇ、これ。
全部の指が立ってしまいます!
あ、でも手の指は同じ形にはなりませんでしたよ~、ははは。
いつも思うのですが、歌舞伎役者さんは、ものすんごーーーいことをさりげなぁぁーくやりますよね。
荒事で見得を切るときの寄り目も、あれはフツー出来ませんし。[わおっ]
by 愛染かつら (2006-10-02 15:29)
愛染かつら さん、こんばんは~。
松緑さんが隈取りするとほんとに五月人形みたいですよね。なんだか可愛くて、お気に入りです。
雀右衛門さんも千秋楽まで休まず出られて良かったです。
でもやはりなんと言っても吉右衛門様の素晴らしさ‥‥。改めて惚れ直してしまいました~。[らぶっ]
吉右衛門様と同じ時代に生きていて良かったなあ、なんて、大袈裟かもしれないけどほんとにそう思ってしまいました。[はぁと]
by mami (2006-10-02 18:44)
mami様
こんばんは。
可愛いですよねぇ、松録さん。
何だかコロッコロしていて…
雀右衛門さんも最初に拝見した時には、「このまま楽まで持つのかなぁ~」と心配になりましたが、随分とお足元も良くなっていて安心しました。
吉右衛門さんはねぇ~、本当に素晴らしい役者さんですよね。
染ちゃんには出来れば叔父さんのようになって欲しいです(笑)。
今回のような芝居を観させて頂いたことは、確かに同じ時代に生きてきて良かったと思えることですね。[はーと]
by 愛染かつら (2006-10-02 19:04)